Performances & Events金曜よるのクラシック・リサイタルシリーズ Vol.17　鈴木優人 チェンバロ・リサイタル

公演レポート

雨の匂いのする5月の金クラにご出演いただいたのは、ちょうどひと月前にメインホールで読売日本交響楽団の指揮者として舞台に立たれた鈴木優人さん。本日はリサイタルホールにチェンバリストとして登場です。

舞台の中央に設置されたのは鈴木さん所有のフレンチ・タイプの2段鍵盤です。漆黒に金の模様が美しい、どこか蒔絵を思わせるチェンバロは、それ自体が気品ある存在感を放ちます。

演奏の前にマイクをもち、「最初のアリアをテーマにそれぞれが32小節で作られた30の変奏曲、そしてまたアリア。32小節と同じ32で成り立つゴルトベルク変奏曲は、偉大なる作曲家バッハの集大成ともいえる」と解説を加えます。
3の倍数で入るカノン、後半に登場するフランス風序曲の構成など、これから始まるコンサートをさらに楽しむ聴きどころをピンポイントでお話しいただきました。

J.S.バッハ《ゴルトベルク変奏曲 BWV988》全曲演奏会。全32楽章からなる大曲を全曲通して聴くことのできるスペシャルな機会となりました。

繊細できらびやかなチェンバロの音色がホールに散りばめられます。休憩無しで挑む鈴木さんの姿はやわらかく、自然体かつ優雅。演奏する側、聴く側にも集中力が求められますが、不思議と息苦しさはなく、次第に広がってゆく世界に安らぎを感じます。

大きな拍手のなか、アンコールに《主よ、人の望みの喜びよ》を。それでも鳴り止まない拍手、繰り返されるカーテンコールに《メヌエット》の1フレーズでこたえ、オールバッハで終演となりました。

ご来場ありがとうございました。

＜本日のアンコール＞
J.S.バッハ：主よ、人の望みの喜びよ

＜アンケートより＞
♪「ゴルトベルク変奏曲」はアリアの部分は聴くことがありましたが、他の部分についてはなかなか機会もなく全部を通しで聴けるすごい体験になりました。
♪素晴らしいチェンバロの演奏。一枚一枚違う絵の画集を見ているようでした。
♪初めての生チェンバロ。ラジオよりも音のつぶつぶがいいですね。
♪最高としか言いようがない。チェンバロの音と世界に没入させていただきました。
♪チェンバロを生で聴くのは初めてでした。ピアノと違って弾く音がいいですね。
♪全曲通して、集中力が素晴らしかった。
♪鈴木さんの魂の演奏すばらしかった。人生を見つめているようでした。
♪鈴木さんのお話しも聴け、一時間以上弾きっぱなしの演奏もとにかく素晴らしかった！ますますファンになりました。
♪ずっと楽しみに待っていた公演でした。素晴らしい演奏、素晴らしい時間。金曜のよるの最高のご褒美でした。