Performances & Events金曜よるのクラシック・リサイタルシリーズ vol.10　金子三勇士 ピアノ・リサイタル

公演レポート

仕事やお出かけの帰りに、ふらりとカジュアルにクラシックを楽しめる毎年大好評の「金曜よるのクラシック・リサイタル」シリーズ、今年もスタートしました！
今年度最初、11月24日の「金クラ」は、金子三勇士さんのピアノ・リサイタルです。

ステージに登場すると、いきなりショパンの《革命のエチュード》の演奏が始まりました。最初から激しく迫力ある選曲に、驚かれた方も多かったのではないでしょうか？ショパンの繊細なイメージとは大きく異なる楽曲ですが、金子さんいわく「ショパンは革命や戦争の時代を生きた作曲家。今の世界のような激動の状況で、聴く人に勇気や元気を与えられる偉大な先人たちの曲を、演奏して伝えていけたら」という思いで選ばれたそうです。凄みのある圧倒的な音に、一気に引き込まれてしまいます。

続いては、「対照的にショパンらしい曲を」ということでショパンの《夜想曲 第20番 「遺作」》と《仔犬のワルツ》を演奏。《夜想曲》は、最後の一音の余韻まで美しく、《仔犬のワルツ》は軽やかなリズムの中にもダイナミックな力強さが感じられました。
ベートーヴェン《ピアノ・ソナタ 第14番「月光」》より第1楽章とドビュッシー『ベルガマスク組曲』より 《月の光》は、どちらも「月光」を冠した曲ですが、続けて聴くとよりそれぞれの曲の個性が際立ちます。

金子さんはお母さまがハンガリーのご出身で、ご自身も長くハンガリーで生活されていました。ハンガリーを代表する作曲家・リストには特別熱い思いをもっており、リストが編曲した作品が選ばれました。リストは、日頃音楽を聴く機会がなかった人々にも優れた作品を広めるため、いろいろな曲の編曲も手がけた音楽家。今回は、そんなリストが編曲したモーツァルトの《アヴェ・ヴェルム・コルプス》とシューベルトの《アヴェ・マリア》を演奏しました。クリスマスシーズンらしい、厳かな中にあたたかい印象もある旋律が心地よく響きます。

本編最後は、リストが編曲したベートーヴェンの交響曲第9番から第4楽章を金子さんがアレンジした、《フロイデ！〜交響曲第9番 ニ短調 Op.125《合唱》から第4楽章〜》を、長野市芸術館オリジナルバージョンとして、今日限りの即興アレンジで披露！！「命がけで挑みます！」との言葉のとおり、いきいきと躍動感にあふれた音色は本当にパワフルで心を揺さぶります。どう展開していくのかも含め、最後まで目が離せない圧巻の演奏でした。

どこまでもエネルギッシュで個性の際立つ演奏で、馴染みのある曲も新鮮な迫力をもって感じられる圧倒的なステージとなりました。

ご来場ありがとうございました。

＜本日のアンコール＞
J.S.バッハ（金子三勇士 編曲）：G線上のアリア

＜アンケートより＞
♪心にせまる迫力のピアノの音色は衝撃的でした。金子さんにハマってしまいました。トークも抜群！次回も行きたい。
♪リストに対する深い思いを感じる演奏でした。また是非長野で演奏してください。
♪ショパンの「革命のエチュード」が聴きたかったのと、他も全て知っている曲ばかりですごく楽しく、またピアノってこんなにすごいんだと感動しました。2年半前にピアノを弾き始めたところですが、ずっと続けたいなと思いました。
♪ベートーヴェンの月光は、いつも聴いている曲のイメージと全然違う曲に感心しました。今日自宅で楽譜を見直してみようと思います。そして、40年ぶりに弾いてみようと思います。低音のフォルテがとても響いて聴こえました。
♪有名な曲目について、金子さんの解釈による演奏をお聴きして、自身の曲への気持ち・解釈・イメージがより深いものになった気がします。
♪はく力がすごくてびっくりしました。ならっているピアノをもうちょっとがんばろうと思います。
♪生まれて初めて、ブラボー！と声が出ました。言わずにはいられない演奏でした。一台のピアノなのに何故にあんなにいろんな音色が出せるのでしょうか。素晴らしい音楽家と出会えた今日は、本当に記念すべき日となりました。ぜひまた長野へ来ていただきたいです。ありがとう！