Performances & Events水曜ひるまのクラシック・リサイタルシリーズvol.31　小林愛実 ピアノ・リサイタル

公演レポート

6月の「水クラ」は、昨年10月、ショパン国際ピアノ・コンクール第4位入賞で話題をさらった小林愛実さんが登場しました。
長野市芸術館でのコンサートは初めてです。

曲目は、オール・ショパン・プログラム。《24のプレリュード（前奏曲集）》全曲とスケルツォ全曲、という、力の入ったプログラムです。
ショパン・コンクール以後、お客様も最も聴きたかったプログラムではないかと思います。会場は満席。開演前から、お客様の期待と熱気が会場内に満ちていました。

前半《24のプレリュード》Op.28は、長調と短調の曲が交互に並び、様々な感情や風景が奏でられます。
ひとつひとつの作品もそれぞれ魅力的で、誰もが聴いたことのある曲も含まれていますが、通して聴いたときには全く違う印象を抱かせます。

喜び、悲しみ、愛、裏切り、無邪気さ、諦めなど、絶えまなく揺れ動く思いが、まるで一編の叙事詩のようです。こんなにも深くドラマティックな作品であったかと驚きます。

後半は恒例のトークコーナーでスタート。
小林愛実さんと言えば、子どものころから演奏活動を行ってきた天才少女、というイメージをお持ちの方も多いと思います。華々しいキャリアの一方で、自分は何をやっているんだろう、ピアノを辞めたいと思った時期もあったということ。

そんな時期にエントリーしていた2015年のショパン・コンクール（ファイナリスト）が、改めてピアニストとしての自分に向き合うきっかけとなったと、ふんわりとしながらも意志の強さが感じられる口調で語られました。
悩み、もがきながら自分とピアノの関係を見つめなおしていった経験から、さきほどの《プレリュード》の深い表現に至ったのだと思わされます。

さらに「水クラ」ではおなじみのぷちスイーツのご紹介。
今回はスーパーやコンビニでもおなじみのお菓子。シリーズ常連の方は、「地方の銘菓でなく、なぜ？」と不思議に思われたかもしれません。でも、小林さんにとっては本番前の験担ぎのラッキースイーツだということ。そんな話を聞くと、特別な力をくれるような気がします。

後半のプログラムは、《スケルツォ》第1番から第4番。4曲が組曲のように続けて演奏されました。

望郷、愛、慟哭などのショパンの心の叫びを力強く、激しく描きながらも、激しさに溺れず清らかな美しさの中にコントロールしていくような演奏は圧巻でした。

ご来場ありがとうございました。

＜本日のアンコール＞--------
シューマン：アラベスク
ショパン：ワルツ　第5番

＜アンケートより＞--------
♪贅沢なひと時を過ごさせていただきました。小林さんのショパンは想像以上にドラマティックで非常に聴き応えがありました。
♪今までに聴いたことのないピアノでした。ピアノが違う楽器になっていました。
♪素晴らしい演奏ありがとうございました。言葉にならないくらい感動しました。
♪繊細さと力強さと芯の強さを感じた。こんなにたくさんの大曲を聴かせていただき、アンコールまでありがとうございました。ずっと楽しみにしていました。本当にステキでした。身体から音があふれていました。スゴイ！
♪最初の《プレリュード》が鳴ったときから、その響きの豊かさに感動して、涙が出そうになりました。
♪目の前でこんなに素晴らしい演奏を目の前でしてくださっていることが信じられない。夢の世界にいるようで感動の連続でした。
♪聴いたことのないスケールの大きさ、演奏のテクニック、素晴らしかった！ピアノをいっぱいに使って演奏している！本当に素晴らしかった。
♪美しく深く感動の演奏でした。トークもチャーミングで、とても楽しい時間でした。
♪こんなにぜいたくなプログラム、見たことも聴いたこともないです。
♪ピアノの音の力を感じ、すごく集中して聴きました。前半はほんとうにあっという間に終わってしまった。トークタイムも小林さんの天才ぶりを垣間見ました。スイッチの入り方がちょっと違うのかな？キラキラ音が見えました。
♪小林愛実さんの本物のショパンに接することが出来て本当に感謝します。音の美しさ、感情移入の激しさ、これが世界のトップの演奏なのかと感激です。
♪トークの中で、小林さんの葛藤を知りびっくりしました。
♪最初の一音から最後の一音まで、胸のドキドキが止まりませんでした。ベルベットのような深い艶、星のきらめき、ため息や慟哭、怒涛の波。すべての音に血が通った小林さんのショパンをこの近い空間で聴ける贅沢！全身全霊で味わいました。
♪トークをたのしませていただきました。コンクールには様々な裏のお話があるのですね。ご自身のピアノに関わるお話も興味深く聴かせていただきました。