Performances & Events水曜ひるまのクラシック・リサイタルシリーズ vol.54 田中彩子 ソプラノ・リサイタル

公演レポート

木々の緑も濃さを増し、日差しも日に日に夏に変わる5月の水クラは、田中彩子さんによるソプラノ・コンサートです。今回もチケットは発売早々にソールドアウト！
満席の会場から期待に満ちた拍手の中、光沢のあるAラインのドレスで田中さんが優雅に登場します。胸に手を当てて深くお辞儀をしたのを合図に、目が覚めるように輝くピアノが鳴り響き、華やかにJ.シュトラウスⅡ世 《ワルツ「春の声」》からコンサートスタートです。

1曲目から聴衆を魅了する演奏のなか、「初めての長野市でのコンサートです。みなさま、ごゆるりとお過ごしください」と田中さん。

歌う時と話す時の、そのチャーミングなギャップ、そしてピアニスト川田健太郎さんとの掛け合いも絶妙に会場を虜にします。

今回は休憩前にトークコーナーとなりました。前日、善光寺を散策したという田中さん。郷土料理なども堪能したと嬉しそうにお話しいただきました。
質問は、田中さんが声楽を始めたきっかけへ。小さな頃からピアノを習い、音楽から離れて将来を歩むことは想像はできないものの、ピアノへの悩みもある中で歌と出会ったそうです。ピアノの鍵盤の端まで出る声、先生からの勧め、そしてウィーンでの研修旅行などの出会いによって18歳から単身オーストリアへ渡り声楽家としての今にいたるとのこと。
コロラトゥーラ・ソプラノとしての活動に留まらず、音楽の持つ計り知れない力を信じ平和につながる社会活動を行うなど精力的な一面も！知れば知るほど彼女の魅力に引き込まれます。

コンサートの後半は、「クラシックから離れた曲をここまで歌うことは初めて。楽しんでいただきたい」と田中さんから。のびやかな声に寄り添うピアノが極上の時間を創り出します。

長野をイメージした選曲は前半のラフマニノフ《ここは素晴らしい場所》、後半のイギリス民謡《ラベンダーズ・ブルー～映画『シンデレラ』より》、そしてR.ロジャーズ《サウンド・オブ・ミュージック》の3曲。装い新たにシャンパンゴールドのドレスをまとい、そのやわらかな歌声で世界を描きます。

最後はドビュッシー《月の光》で（田中さん曰く）“「声」という楽器”の底知れぬ魅力をたっぷりと味わい尽くして終演となりました。

ご来場ありがとうございました。

＜本日のアンコール＞
パガニーニ: ラ・カンパネラ

＜アンケートより＞
♪本当に自然で美しい歌声に心奪われました。呼吸をするように息が歌声に変わるのが驚きです。
♪うた！人の体から発せられる響き、揺らぎ、とても心地よかったです。
♪歌声のすばらしさ、トークのかわいらしさに引き込まれました。
♪ピアノ、素晴らしい。おふたりの掛け合いも楽しみました。
♪美しい声、楽しいトークとてもよかったです。
♪曲だけしか知らなかったものに、歌詞がつくとここまで心に響くものなのかとしみじみ思いました。
♪歌とトークのそのギャップにやられました。すっかりファンになりました。
♪天から降り注ぐような澄んだ歌声にうっとり聴き入りました。
♪歌声はもちろん、社会活動にも感銘を受けました。
♪ピアノとのコンビがよかった。