Performances & Events近藤薫プロデュース　リヴァラン弦楽四重奏団 #4 +1(プラス・ワン)

公演レポート

年末年始の慌ただしさもひと段落した１月後半。長野市芸術館に、今年もあの４人が帰ってきました！ヴァイオリニスト近藤 薫と長野市芸術館がともに立ち上げたレジデント・カルテット“リヴァラン弦楽四重奏団”！
日本はもちろん、世界でも活躍する４人のアーティストが年に一度ここ長野市芸術館に集い、極上の音楽空間をお届けする人気公演です。今年はなんとプログラム後半にはプラス・ワンと題して、ゲストにピアニストの阪田知樹さんが参加。阪田さんといえば、 “水クラ”でお馴染み「水曜ひるまのクラシック・リサイタルシリーズ」の2023年12月の回にご出演いただいた人気ピアニスト。趣向を凝らしたコンサートに、会場はほぼ満席となりました。

シックな黒の装いで登場する、カルテットの４人。その中でも艶のあるブラックにフリンジが美しく揺れるドレスで第一ヴァイオリンの川久保賜紀さんがひときわ目を引きます。静寂から、パッと華やかなモーツァルト《弦楽四重奏曲 第23番 ヘ長調K.590「プロシャ王第3番」》でスタート。

続くショスタコーヴィチ《弦楽四重奏曲 第8番 ハ短調 Op.110》は、前曲の雰囲気が一変。一気にシリアスに重々しく、聴衆に訴えかけます。ゆったりと始まったかと思うと追い立てられるような速いパッセージ、心の叫びのようなヴァイオリンの高音。時折視線を交わしあいお互いの息遣いをはかる姿にも気迫を感じます。

第二ヴァイオリン近藤さんからは、「四重奏曲は作曲家が様々なチャレンジの場としてのぞみ、とても個人的な想いが乗りやすい。ショスタコーヴィチの作曲当時の苦悩を、時を超えて今に繋げることができるのは、長野の皆さんが音楽を聴きにくる消費者としてではなく、音楽を一緒に作る当事者としてこの会場にいらしているおかげ。そのことに今日気づくことができた」と長年の自分の中の疑問に答えを出せた、と嬉しそうに語っていました。

後半はステージ中央にピアノが運ばれ、いよいよゲスト阪田知樹さん登場です。
バルトーク《ピアノ五重奏曲 ハ長調Sz.23》。チェロ クリスティアン・ギガーさんとヴィオラ 佐々木亮さんの低音がどっしりと支える中、輝くようなピアノの音色が合流。重厚な盛り上がりの中から川久保さんと近藤さんのヴァイオリンから光が差します。５人でひとつ、それでいて５人それぞれの個性が否応なく感じられ、楽器同士で会話を楽しんでいるかのような陶酔の全４楽章となりました。

近藤さんからも「今回はショスタコーヴィチ、バルトークが並ぶ渋いプログラム。このバルトークの五重奏は一生に一度くらいしか聴くことはないのでは？みなさんよくぞ足を運んでくれました」と。会場を埋めるお客様の笑いを誘いました。なかなか一緒に並ぶことのない渋いプログラム、みなさんお楽しみいただけたでしょうか。

ご来場ありがとうございました。

＜アンケートより＞
♪今回で3回目です。これまで4人の息の合った演奏。言葉を超えた平和への想いを聴かせていただきました。
♪今年の演目、これ以上にない組み合わせでした。近藤さんのお話も心に響きました。
♪上質な音に酔いしれました。甘いモーツァルト、厳しいショスタコーヴィチ、知的で深くてドラマチックなバルトーク。魂感じました。
♪毎年、新年の行事となり、力をもらっています。クラシック詳しくないですが、心に触れるものがあります。
♪今年はプラス・ワンのピアノ！本当に楽しませていただきました。
♪マニアックなプログラムにどっぷり浸ることができました。新年から幸せな時間でした。
♪阪田さんのピアノが聴きたくて来ました！平和について考えさせられました。
♪解説を読んで曲のイメージを思い浮かべながら聴きました。カルテット。プラス・ワン、最高！！