Performances & Events須川展也プロデュース　長野市芸術館ブラス・フェスティバル Vol.5　スーパー・ウインド・オーケストラ with NAGANO12

公演レポート

サックス・プレイヤー須川展也さんと長野市芸術館との共同プロデュースによる、特別なブラス・フェスティバル、vol.5公演。とくに、一般公募の吹奏楽団「スーパー・ウインド・オーケストラ（SWO）」は、今回からの新展開です。前回までのSWOは高校生に限って参加を募っていましたが、今年は中学生から60代まで年齢も楽器の経験年数もさまざまな皆さん約90人に参加いただきました。そんなvol.5公演は、吹奏楽の魅力をさらにたっぷり味わえるコンサートとなりました。

第一部は須川さんのサックスと小柳美奈子さんのピアノによるステージ。アイルランド民謡《ロンドンデリーの歌》から始まり、艶のあるサックスの音が響き渡ります。そしてJ.ウィリアムズ《エスカペイズEscapades ～Catch Me If You Can より～》では、ワクワクする映画音楽をジャジーに。2人だけのステージゆえの緊張感や、その中で自由に動き回るサックスとピアノの音色が心地良い1曲でした。

第二部は、須川さんの指揮による「NAGANO１２」のステージ。全員長野県出身のプロ奏者12名による、各パート1人ずつの小編成の吹奏楽団です。2022年に結成し、昨年秋に市内の学校や公民館で公演を行いました。そのステージでも大好評だった、メンバーの清水舞花さん（アルトサックス）がアレンジしたホルストの組曲『惑星』より「木星」は、重厚感がありながらそれぞれの音がくっきりと聴こえる、この編成ならではの演奏です。

さらに三浦秀秋編曲の《ラテン・メドレー》では、須川さんのサックス・ソロをたっぷりと。ラテンのさまざまなメロディを贅沢に聴ける1曲です。

そして第二部最後はラヴェル（大橋晃一編曲）《ボレロ》を12人で！淡々と刻まれる前半から大迫力のクライマックスでおなじみのこの曲を、たった12人の演奏で聴くのはとっても新鮮。アンサンブルの繊細さも感じられます。

第三部は、スーパー・ウインド・オーケストラにNAGANO１２が加わる約100人の大編成ステージ！《マイ・フェイヴァリット・シングス》や歌劇『カヴァレリア・ルスティカーナ』より間奏曲、A.メンケン「美女と野獣」シンフォニック・メドレーなど、吹奏楽で演奏するのも聴くのも楽しい名曲が満載です。

そして《追憶のテーマ》では須川さんのサックス・ソロを。100人全員で重ねる音はとてもドラマチックです。

そんな第三部の最後も人気曲、A.リード《エル・カミーノ・レアル》で吹奏楽の魅力が詰まった大迫力の演奏を聴かせました。アンコールはこれまた華やかな名曲、《エル・クンバンチェロ》。スピード感あふれるノリノリな1曲で楽しさあふれるフィナーレとなりました。

「学生時代に部活などで打ち込んだ吹奏楽を、大人になっても楽しんで続けてほしい」という須川さんの願いから、幅広い年齢層が集まって「一期一会のアンサンブル」を作り上げた今回のSWO。親子で参加された方や、現在部活に打ち込んでいる方、ブランクを経てまた演奏をするようになった方など、さまざまな皆さんが吹奏楽を通じて集まったこのステージは、出演者にとってもご来場の皆さんにとっても、刺激的で魅力あるものになったのではないでしょうか？

NAGANO１２に今後演奏してほしい曲も、たくさんのアンケート回答をいただきました。今後の長野市芸術館ブラス・フェスティバル、NAGANO１２の活動もぜひお楽しみに！　来年のSWOメンバー募集は今年の年末頃になる予定です。貴方も参加してみませんか？

ご来場ありがとうございました。

＜本日のアンコール曲＞

R.エルナンデス（岩井直溥編曲）：エル・クンバンチェロ

<アンケートより>

♪だんだんと編成が大きくなり、須川さんの素晴らしいリサイタル、12人によるクオリティの高いオケの曲、約100人の大迫力の吹奏楽！とても興奮しました。楽しかったです！

♪「木星」がすてきでした。有名な曲がたくさんあって、とても楽しかったです。第三部のスーパー・ウインド・オーケストラwith NAGANO１２の迫力がすごくて、びっくりしました。そして、感動しました。

♪第一部はピアノとサックスそれぞれの音色が、はっきりと聞こえて、それぞれに美しい音色で感動しました。第二部は、普段オーケストラで聞いている曲を12人の演奏で聞くというのが新鮮でおもしろく、ボレロに感動しました。第三部は最初の一音から迫力に圧倒されました。大勢で演奏することの素晴らしさを感じました。

♪一度聴いてみたいと思っていました。やはりすごい。涙が止まりませんでした。また必ず聴きにきます。学生時代に戻って楽器が演奏したくなりました。

♪須川さんの思うままに素敵な音を奏でられるところがとても羨ましく、「やっぱりサックス最高！」と思わせてもらいました♪

♪去年の高校生だけのメンバーでなくて、大人も混じっていて安定した感じの音で、「美爆音」ってこういうのを言うんだなーと思いながら、迫力のある、そして時にうっとりする音を楽しみました。