Performances & Events西村まさ彦プロジェクト　シニア演劇アカデミー第5期記念公演「のんの口伝」「41℃の温もり」

公演レポート

今年で5回目の開催となった、「西村まさ彦プロジェクト シニア演劇アカデミー」。監修の西村まさ彦さん、演出・講師の関口静夫さん、山本陽将さんの指導を受けて、昨年9月から稽古を重ねてきました。
1月28日に開催した今回は、5期目の記念公演として「シニア世代チーム」と「シニア世代＋シニア未満混合チーム」の2つのグループでそれぞれ異なる物語を上演しました。

前半、シニア世代10人が演じる「のんの口伝」は、野乃実おばあちゃんが自分の波乱万丈な人生を振り返るストーリーです。戦争によって引き裂かれた夫との生活や、別れの深い悲しみ、その後の苦しい人生は、決して穏やかだったとはいえないけれど、口ずさむ歌とともに乗り越えて生きてきた「のんの」こと野乃実おばあちゃん。過ぎた時代の中にも、名も無いたくさんの人々の生活があり、その1人ひとりが主人公なのだと訴えるような強さはシニア世代だからこその説得力です。

後半、シニア世代とシニア未満世代あわせて20人が演じる「41℃の温もり」は、老人介護施設で出会った男女が結婚を決意する物語。老後の生活を過ごしながら、日々消えない寂しさを誰かと乗り越えたいと願う姿や、それぞれのキャラクターが思いを共有し合うシーンからは、どんな人も勇気をもらえるはず。世代を越えたキャスト同士のコミカルな掛け合いと、真剣な熱演の緩急も魅力です。ラストまで元気いっぱいに駆け抜け、爽やかな余韻が残ります。

それぞれ全く異なる題材のストーリーですが、シニア世代が生き抜いてきた人生の時間にやさしく光を当てる物語を、キャストが全力で演じました。9月から毎週の稽古はハードなものでしたが、回数を重ねるごとにそれぞれの課題を乗り越えていく参加者の皆さんは、本当にいきいきしていました。
長いあいだ演劇と向き合ってきた方も、今回初めて演劇に挑戦した方も、キャストもスタッフも、全員で1つのお芝居をつくり上げようと奮闘する熱量を存分に感じていただけたのではないでしょうか。年齢に関係なく、舞台に挑む大変さと得られる感動を、今後も市民の皆さんに体験していただければと思います。

ご来場ありがとうございました。

＜アンケートより＞
♪Aチームは、全体的な構成が良く楽しめました。また合唱も良かったです。だれもが共感できる瞬間があったと思います。Bチームは、若い方も加わってぐっと違う舞台を観ることができました。笑いあり涙あり、とっても楽しめました。
♪とても良かったです。のんの口伝では、苦しくて途中で泣いてしまいました。41℃の温もりではハッピーになれてよかったです。
♪（Aチーム）昔の家庭の様子がとても厳しく出兵する切なさがよく伝わってきました。合唱があることで、よりリアルで当時がよく連想させられました。（Bチーム）子供の立場で、親のことを考えられる、いい機会になりました。日頃、自分のことを中心に精一杯なので、親に幸せであってほしいと心から考えさせられました。
♪皆さま、一般の方ですか？というくらい出来上がっていらして素晴らしいです。とても努力して、また、その出演しようという勇気に拍手を送りたいです。演出も工夫されていて観やすかったです。
♪時代が異なる2作品、どちらも考えさせられるところがあり良かったです。練習の成果が発揮され、見ごたえがありました。若い方が参加されているのも良かったと思います。
♪一人ひとりの演技のすばらしさに感動しました。45分という限られた時間で、内容がぎっしり詰まっていて、感動させられました。ぜひ機会があればまた足を運びたいです。合唱も上手でした。