Knot & No.2
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得たご縁を自分から愛して巡り合わせた音楽家の道術館では毎年クァルテットで公演していますが、例えばソロやピアノトリオや、それにオーケストラの中でも、アプローチはやはりそれぞれ少し違います。特に弦楽器がそろうハーモニーの部分はみっちりとリハーサルを行います。弦楽器=声が4人で一致するのってすごく難しいんですよね。ヴァイオリンだけではなくほかの弦楽器の音色があって、それぞれの楽器の〝出番〟が和音の中で生きるように、入念に準備をしてからステージに臨みます。ステージに立つ時は〝できるだけ考えない〟ように意識していますが、やっぱり難しいです。緊張していると思うようにいかないし、そこで考えてしまうと、もっと緊張が解けないし。あとは、自分以外の音を聴く。周りの音にもっと集中するということですね。そして、本番を怖がらず、楽しむこと。ある時、「いつも通りに弾かないことを意識したら」と言ってくださった方がいたんです。毎回同じには絶対弾けないんだから、違うように弾いたらいいかもと。確かにそうだなと思って、その日その瞬間に新しく生まれるものを面白がれるようになりました。5歳でヴァイオリンを始めましたが、その先、プロを目指した瞬間というのが実はあまりなくて。タイミングと、巡り合った人のサポートがあって、機会を与えていただける状況にいたからですね。素敵な先生や周りの環境、一緒に学んだ仲間を、私自身がすごく好きになったから、それが今につながったんだろうなと本当に感じています。弦楽器は人の声に似ていますよね。ヴァイオリンは単純に言うとソプラノですが、その中でいろいろな特徴的な音色が出せるところが魅力です。長野市芸か わた まくぼき川久保紀インタビューを聞いて   ヴァイオリニストP r o f i l eArtistInterview2001年サラサーテ国際ヴァイオリン・コンクール優勝、2002年チャイコフスキー国際音楽コンクールヴァイオリン部門最高位受賞で世界の注目を浴びる。幼少時より主要な北米オーケストラと共演。日本では1997年、チョン・ミョンフン指揮アジア・フィルのソリストとしてデビュー。以後、内外で活躍し、高度な技術と作品の品位を尊ぶ深い音楽性に高い評価を得ている。桐朋学園大学院大学(富山校)教授。【出演公演】「近藤薫プロデュース リヴァラン弦楽四重奏団#5+1(プラス・ワン)」2026年1月17日(土)14:00開演 長野市芸術館リサイタルホール出演:川久保賜紀/近藤薫(ヴァイオリン)、佐々木亮(ヴィオラ)、クリスティアン・ギガー(チェロ) ゲスト:遠藤真理(チェロ)神社という貴重な場所でのコンサートは、言葉が出ないほど感激しました。ステージ上の気迫あふれる川久保さんは、1日ご一緒していた時の気さくな雰囲気とは違って、「演奏中は呼吸にも集中してるから表情がつくれなくて」というお話に納得しました。音楽の大切さを考えさせられたし、音色や体の表現でも伝えられることがあると知ったので、これから目指す保育士の仕事にも活かしていきたいです!!06 賜

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