変わらぬ客と雰囲気にホッと心地よさを寄席に見つけてましたが、久しぶりに寄席へ行ったら、何も変わってない。感動したんです。安心したんですよね。やっぱり落語っていいなと思ってもう一度トライ。もうその時は父は諦めてましたね。噺が面白くて耳に心地よかった春風亭一朝師匠の門をたたき、弟子にしていただきました。前座修行は体力もいるし休みもなくて大変でしたけれど、二つ目になると忘れちゃいますね。小さいしくじりも数え切れないほどありましたが、そういう話はマクラにもならなくて悲しい(笑)。師匠の一朝は本当に何も言わない人ですが、稽古は絶対ですね。兄弟子がたくさんおりまして、必要なことを教えてくれました。出稽古も行きます。落語界って、入ったら全員家族みたい。小さい世界でみんなで育てている感じです。江戸っ子やおかみさんが出てくる噺が好きです。うちの師匠は江戸言葉を監修するくらいなので江戸弁の言い回しはすごく厳しい。難しいです。4月の「落語祭」は、まさにその江戸落語と上方落語を聞き比べられる会で、華やかな上方も大好きですが、負けたくないですね。江戸っ子ですから。小さいころは人前に出ることが好きで、大学では演劇をやっていたんです。その大学の近くに池袋演芸場がありました。やる気なさそうな隣の席のおじさんと(笑)同じタイミングで笑ったことに何とも言えない幸福感があって、不思議な場所だなと思って。大学を卒業する時、「就職も女優も違う。そうだ。落語だ」と、老若男女楽しんでもらう手段として目が向いたんです。すごく安易に落語の道へ進もうと。演芸好きの父親でしたが、それを話したら勘当騒ぎになりました。他のお仕事も経験させていただきしゅんぷうていいちはなProfileArtistInterview春風亭一花は4月26日の「江戸落語の粋」に出演東京都台東区出身。立教大学経済学部経済学科卒業。2013年5月、春風亭一朝に入門。2014年5月、横浜にぎわい座にて初高座(演目『子ほめ』)。2014年11月、楽屋入り。前座名「一花」。2018年3月、二つ目昇進。2020年、第19回さがみはら若手落語家選手権優勝。2023・2024年、NHK新人落語大賞に2年連続で本選出場。特技は笛、絵を描くこと。テレビ、ラジオなどメディア出演も多数。【出演公演】「長野市芸術館落語祭 江戸落語と上方落語」2025年4月26日(土)其の壱「江戸落語の粋」4月27日(日)其の弐「上方落語の華」両日14:00開演 長野市芸術館アクトスペース全員、生の落語はほぼ初体験!目の前で聞く貴重な経験でした。勇気を出して違う世界に踏み出したり、努力を重ねることのすごさを、お話から感じました。マクラやネタ帳の大事さをうかがって「落語は、お客さんやほかの落語家との対話みたいなもの」という言葉が理解できました。まち歩きでは会話もすごく弾んだし、落語家さんへの勝手なイメージがほぐれて、親しみに変わりました。本当に楽しかったです!06落語家 一春風亭花インタビューを聞いて
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